ご質問の件ですが、簡易帳簿のことをご質問されていますので、青色申告を前提にお答えします。青色申告者は、原則として正規の簿記の原則に従い複式簿記により記帳することになっています。(所法148条、所規56条〜64条)。
しかし、一応の簿記の知識がなければ記帳できない複式簿記によらなくても、売上や売掛金の帳簿など、商売上誰もが記帳している帳簿によって簡単に青色申告ができるように、
- 財務大臣の指定する簡易簿記による方法
- 小規模事業者を対象とした現金主義による記帳の方法
も認められています。(所規56条、所法67条の2、昭和42年財務省告示第112号)。なお、青色申告者が正規の簿記により記帳するか簡易簿記の方法により記帳するかは、青色申告者自身が選択することになっています。
簡易簿記による方法の記帳をした場合の備付帳簿は次のとおりになっています。
簡易簿記で記帳する場合の備付帳簿
青色申告者は、次のような帳簿を備えて簡略な記帳をするだけで良いことになっています。
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費明細帳
- 固定資産台帳
もちろん売掛・買掛がない場合には、2及び3は必要ありませんし、固定資産がない場合には、5は必要ありません。最低限、損益計算書を作成するために取引を記録した帳簿が必要になるということです。
ちなみに、会計ソフトを導入する予定であれば、複式簿記の方法による「仕訳帳」「総勘定元帳」等は、会計ソフトが自動的に作成してくれるので、わざわざ単式簿記を選択することはないと思います。会計ソフトを利用して経理を行う場合には、証憑書(領収書・請求書等の証拠書類)の保存と「現金出納帳」の記帳をすれば、あとは、関係資料を基に入力するだけです。
証憑書は7年間の保存が義務付けられていますが、ただ保存しておけばいいと言うわけではありません。必要なときに、必要な証憑書を出せるような状態にしておく必要があります。
また、現金出納帳が必要になるのは、現金取引の証明のためです。(銀行取引のように第三者が証明してくれるような資料が残らないため、手書きの現金出納帳は貴重です。)